報道
事実
こと
四意見が対立している問題については,できるだけ多くの角度から論点を明らか にすること。」と規定し,同法3条の3第1項は,「放送事業者は,放送番組の種 別及び放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準(以下「番組基準」とい う。)を定め,これに従って放送番組の編集をしなければならない。」と規定して いる。
これらの放送法の条項は,放送事業者による放送は,国民の知る権利に奉仕 するものとして表現の自由を規定した憲法21条の保障の下にあることを法律上明 らかにするとともに,放送事業者による放送が公共の福祉に適合するように番組の 編集に当たって遵守すべき事項を定め,これに基づいて放送事業者が自ら定めた番 組基準に従って番組の編集が行われるという番組編集の自律性について規定したも のと解される。
このように,法律上,放送事業者がどのような内容の放送をするか,すなわち, どのように番組の編集をするかは,表現の自由の保障の下,公共の福祉の適合性に 配慮した放送事業者の自律的判断にゆだねられているが,これは放送事業者による 放送の性質上当然のことということもでき,国民一般に認識されていることでもあ ると考えられる。
そして,放送事業者の制作した番組として放送されるものである以上,番組の編 集に当たっては,放送事業者の内部で,様々な立場,様々な観点から検討され,意 見が述べられるのは,当然のことであり,その結果,最終的な放送の内容が編集の 段階で当初企画されたものとは異なるものになったり,企画された番組自体が放送 に至らない可能性があることも当然のことと国民一般に認識されているものと考え られる。
イ放送事業者が番組を制作し,これを放送する場合には,放送事業者は,自 ら,あるいは,制作に協力を依頼した関係業者(以下「制作業者」という。)と共 に,取材によって放送に使用される可能性のある素材を広く収集した上で,自らの 判断により素材を取捨選択し,意見,論評等を付加するなどの編集作業を経て,番 組としてこれを外部に公表することになるものと考えられるが,上記のとおり,放 送事業者がどのように番組の編集をするかは,放送事業者の自律的判断にゆだねら れており,番組の編集段階における検討により最終的な放送の内容が当初企画され たものとは異なるものになったり,企画された番組自体放送に至らない可能性があ ることも当然のことと認識されているものと考えられることからすれば,放送事業 者又は制作業者から素材収集のための取材を受けた取材対象者が,取材担当者の言 動等によって,当該取材で得られた素材が一定の内容,方法により放送に使用され るものと期待し,あるいは信頼したとしても,その期待や信頼は原則として法的保 護の対象とはならないというべきである。
もっとも,取材対象者は,取材担当者から取材の目的,趣旨等に関する説明を受 けて,その自由な判断で取材に応ずるかどうかの意思決定をするものであるから, 取材対象者が抱いた上記のような期待,信頼がどのような場合でもおよそ法的保護 の対象とはなり得ないということもできない。
債務不履行
箕面市の住民である原告らが,箕面市が設置する箕面市立α駅前自動車駐車場(以下「本件駐車場」)の指定管理者としてA株式会社(以下「A」という。)が指定されたことに関し,公募制度という適切な指定管理者の選定方法を取っておらず,地方自治法244条の2第3項に違反するなどと主張し,被告箕面市に対し,(1) 箕面市立箕面駅前自動車駐車場条例(平成16年箕面市条例第48号。以下「本件条例」という。)附則3項(以下「本件附則」という。)の無効確認及び(2) 箕面市長(処分行政庁)がAを本件駐車場の指定管理者として指定した処分(以下「本件指定」という。)の取消しを求め,併せて,被告箕面市長に対し,(3) A(指定管理者の指定が違法であるから,平成17年4月1日以降,本件駐車場の利用料金4349万3000円を収受していることが不法行為に該当する。)及びB(箕面市長の職にある者として,本件駐車場を誠実に管理しなかったという債務不履行により,箕面市は,平成17年4月1日以降,本件駐車場の利用料金4349万3000円を収受できないという損害を被った。)に損害賠償請求をすることを求める事案である。
1 法令の定め
(1) 地方自治法
普通地方公共団体は,住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設(公の施設)を設けるものとされ(244条1項),公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは,条例の定めるところにより,法人その他の団体であって当該普通地方公共団体が指定するもの(指定管理者)に,当該公の施設の管理を行わせることができる
(244条の2第3項)。
普通地方公共団体が,指定管理者の指定をしようとするときは,当該普通地方公共団体の議会の議決を経なければならず(同6項),指定管理者の指定の手続,指定管理者が行う管理の基準及び業務の範囲その他必要な事項についても条例で規定する必要がある(同4項)。
普通地方公共団体は,適当と認めるときは,指定管理者にその管理する公の施設の利用に係る料金(利用料金)を当該指定管理者の収入として収受させることができる(同8項)。
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すなわち,当該取材に応ずることに より必然的に取材対象者に格段の負担が生ずる場合において,取材担当者が,その ことを認識した上で,取材対象者に対し,取材で得た素材について,必ず一定の内 容,方法により番組中で取り上げる旨説明し,その説明が客観的に見ても取材対象 者に取材に応ずるという意思決定をさせる原因となるようなものであったときは, 取材対象者が同人に対する取材で得られた素材が上記一定の内容,方法で当該番組 において取り上げられるものと期待し,信頼したことが法律上保護される利益とな り得るものというべきである。
そして,そのような場合に,結果として放送された 番組の内容が取材担当者の説明と異なるものとなった場合には,当該番組の種類, 性質やその後の事情の変化等の諸般の事情により,当該番組において上記素材が上 記説明のとおりに取り上げられなかったこともやむを得ないといえるようなときは 別として,取材対象者の上記期待,信頼を不当に損なうものとして,放送事業者や 制作業者に不法行為責任が認められる余地があるものというべきである。
ウこれを本件についてみると,上記事実関係等によれば,本件番組の取材に当 たったY の担当者は,原告に対し3 ,本件提案票の写しを交付し,本件番組 は,ドキュメンタリーと対談とで構成され,本件女性法廷が何を裁くかということ や本件女性法廷の様子をありのままに視聴者に伝える番組になると説明し,昭和 天皇についての判決がされれば,判決の内容として放映すべきであると述べ,本 件女性法廷の全部及びその準備活動等その開催に向けた一連の活動について取材, 撮影したいと申し入れ,実際に,原告の運営委員会の傍聴や撮影,Bに対するイ ンタビュー,本件女性法廷の会場の下見への同行,リハーサルの撮影を行い,本件 女性法廷の開催当日,他の報道機関が2階席からの取材,撮影しか許されなかった のに対し,1階においても取材,撮影することが許され,本件女性法廷の一部始終 を撮影したというのである。
しかしながら,上記のY3による実際の取材活動 は,そのほとんどが取材とは無関係に当初から予定されていた事柄に対するもので あることが明らかであり,原告に格段の負担が生ずるものとはいえないし,上記 のY3による当初の申入れに係る取材の内容も,原告に格段の負担を生じさせるよ うなものということはできない。
また,上記〜のY3の担当者の行為は,取材 を申し入れた時点において提案ないし予定されている番組の趣旨内容及び取材内容 に関するもの,あるいは取材担当者の個人的な意見を述べたにとどまるものである ことが明らかであり,Y3の担当者の原告に対する説明が,本件番組において本件 女性法廷について必ず一定の内容,方法で取り上げるというものであったことはう かがわれないのであって,原告においても,番組の編集段階における検討により最 終的な放送の内容が上記説明と異なるものになる可能性があることを認識すること ができたものと解される。
そうすると,原告の主張する本件番組の内容についての期待,信頼が法的保護の 対象となるものとすることはできず,上記期待,信頼が侵害されたことを理由とす る原告の不法行為の主張は理由がない。
(2) 説明義務違反を理由とする被告らの債務不履行責任又は不法行為責任につ いて
上記のとおり,原告の主張する本件番組の内容についての期待,信頼が法的保護 の対象となるものとすることはできないから,このような場合においては,放送事 業者や制作業者と取材対象者との間に番組内容について説明する旨の合意が存する とか,取材担当者が取材対象者に番組内容を説明することを約束したというような 特段の事情がない限り,放送事業者や制作業者に番組の編集の段階で本件番組の趣 旨,内容が変更されたことを原告に説明すべき法的な説明義務が認められる余地は ないというべきである。
そして,本件においてそのような特段の事情があることは うかがわれないから,上記説明義務違反を理由とする原告の債務不履行及び不法行 為の主張は,いずれも理由がない。
(3) まとめ
各論旨のうち,以上の趣旨をいう点はいずれも理由があり,その余の論旨につい て判断するまでもなく,原判決中,原告の請求を認容すべきものとした部分は破棄 を免れない。
第3 平成19年(受)第811〜813号附帯上告代理人飯田正剛ほかの附帯 上告受理申立て理由について
論旨は,原審が説明義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求を認 めなかったことを非難するものであるが,同請求に理由がないことは上記第2,2 (2)のとおりであるから,論旨は理由がない。
第4 結論
以上のとおりであるから,原告のY1及びY2に対する請求については,原判決 中,同被告らの各敗訴部分を破棄し,同部分につき原告の請求を棄却した第1審判 決に対する原告の控訴及び原告の原審で追加した請求をいずれも棄却し,原告の Y3に対する請求については,原判決中,同被告の敗訴部分を破棄し,第1審判決 中,同被告の敗訴部分を取り消して,同部分につき原告の請求を棄却するととも に,原告の原審で追加した請求のうち原判決中同被告の敗訴部分に係る部分を棄却 し,第1審判決中,債務不履行に基づく請求のうち同部分と選択的併合の関係にあ る部分についての原告の控訴を棄却し,原告の附帯上告については,これを棄却 することとする。
破産申請の仕方
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